お宝No.51~60
No.51 第二次世界大戦前の新聞
植物標本(押し葉標本)は、水分をとりやすい新聞紙にはさんで作ることが多い。
今回紹介するのは宇野確雄植物コレクションの標本(詳しくはNo.35)をはさんでいた新聞紙。
第二次世界大戦前のものが多く、古いものでは明治30年代に発行されたものもあり、当時の出来事や世相をうかがい知ることができる。
No.52 タイプ標本と同時に採られた植物標本(アテツマンサク)
新見市名誉市民の植物研究家、白神寿吉(しらが じゅきち)氏(1880-1970)が1914年8月5日に岡山県阿哲郡黒髪山(現、新見市)で採集したもの。
牧野富太郎氏がアテツマンサクの新種記載に用いた証拠標本(タイプ標本)と採集年月日、採集地が一致することから、白神氏と牧野氏は一緒に現地を訪れ、標本を採集したと考えられる。
No.53 希少なノレンコウモリ標本
岡山県内での生息状況は長らく不明であったが、2017年に新見市の洞くつで再発見された。
県内では、分布が局所的で個体数も少なく、繁殖は確認されていない。
岡山県:絶滅危惧2.類、環境省:絶滅危惧2.類
No.54 岡山県で絶滅したハマグリ
縄文時代より日本の代表的な食用貝類であるが、1990年代以降は全国各地で減少または消滅した。
岡山県では、戦後しばらくは多産していたと思われるが、2000年代以降は生貝も合弁死殻も発見されていない。
この標本は戦前に畠田和一が和気片上(現・備前市)で生貝として採集したもの。
岡山県:絶滅、環境省:絶滅危惧2.類。
No.55 イカの化石
Leptoteuthis gigas Meyer 体長100cm ドイツ 中生代ジュラ紀
軟体部の形状まで保存されたイカの化石で非常に珍しく,大型。
No.56 アンモナイト化石ドウビレイセラス
Douvilleiceras sp. 径13cm マダガスカル 中生代白亜紀
地層中でほとんど変形を受けておらず、炭酸カルシウムの殻本体が残った保存の良い化石。
第1展示室で公開中。
No.57 ヤママユの雌雄型
2019年、岡山県赤磐市で中学生が採集した。左右で色が違うのでわかりやすいが、色の違いは個体変異によるもので、雌雄差は左右の触角の違いで確認できる。
右側がオス。
激レアと言われる雌雄型の中でも、これほどに正中線で明瞭に分かれ、傷みのない、しかも野生の大型種は超一級品の資料である。
No.58 観察会で見つかった新種オカヤマクロチビジョウカイ
1998年4月に岡山県加茂川町(現吉備中央町)で開催された当館の自然観察会で採集された標本などを元に2020年に新種記載されたジョウカイボン科の甲虫。
観察会数日前の下見でも採集されており、種の基準となるホロタイプ(写真)にはその個体が指定された。
学名は採集者の奥島学芸員にちなみMalthodes okushimaiと命名された。
No.59 佐藤清明植物コレクション
岡山県里庄町出身の博物学者、佐藤清明(きよあき)氏(1905-1998)が収集した約1万点の植物標本コレクション。
採集者には佐藤氏だけでなく、岡山県内外を問わず多くの研究者が名前を連ねており、氏の交友関係の広さが分かる。
写真は、鯉ヶ窪湿原(新見市)で採集されたオグラセンノウとヤチシャジンの標本。
ヤチシャジンは当湿地から既に絶滅しており、かつての豊かな植物相がしのばれる。
No.60 牧野富太郎博士採集のタケ・ササ類標本(佐藤清明植物コレクションから)
高知県出身の牧野富太郎博士(1862-1957)は、日本の植物分類学の基礎を築いた重要な人物。
その採集標本約50点が、佐藤清明植物コレクション(No.59で紹介)の中から当館友の会会員によって発見された。
いずれもタケやササの仲間の標本で、ラベルはおそらく牧野博士の自筆。
牧野博士と佐藤氏には親密な交流があったことから、同博士から直接標本が贈られたものと考えられる。
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