倉敷市総合設計許可取扱指針
第1章 主旨
1 目的
この指針は、建築基準法第59条の2第1項の規定に基づき、本市の総合設計制度による建築許可に関し必要な事項を定め、もって市街地の都市環境整備及び都市景観形成に寄与することを目的とする。
2 根拠基準及び運用範囲
この指針は、「総合設計許可準則」及び「同準則に関する技術基準」を基本にして、本市の地域特性と調和を図りつつ、この制度を有効に活用するため設けるものである。
なお、許可にあたっては、特定行政庁が具体的な建築計画を基に総合的に判断し、建築審査会の同意を得て許可されるものである。
3 制限の緩和
一定規模以上の敷地内に適切な形状の広場、歩道、緑地等を設け、常時一般の市民に開放して、市街地の都市環境整備及び優れた都市景観形成に十分寄与すると認められる場合には、基準容積率、斜線制限等の限度を超えて緩和することができる。
第2章 用語の定義
この指針で用いる用語の定義は、次のとおりとする。
(1) 法 : 建築基準法(昭和25年法律第201号)
(2) 建ぺい率 : 建築面積の敷地に対する割合
(3) 基準建ぺい率 : 法第53条に規定する建ぺい率
(4) 容積率 : 延べ床面積の敷地面積に対する割合
(5) 基準容積率 : 法第53条に規定する容積率
(6) 空地率 : 建築物又はこれに準ずる工作物に覆われていない敷地部分の敷地面積に対する割合
(7) 公開空地等 : 本指針の第5章に定める公開性の高い空地又はその部分
(8) 有効係数 : 公開空地等の位置、形状及び地盤面からの高低差等によって、その公開性を判定する係数
(9) 有効公開空地面積: 公開空地に有効係数を乗じた面積
第3章 適用対象
この制度により許可対象となる建築計画は、交通上、安全上、防火上、及び衛生上支障がなく、かつ、次の要件を満足していなければならない。
(1) 一定規模以上の敷地を有すること
(2) 一定割合以上の空地を有すること
(3) 一定幅員以上の道路に接すること
(4) 一定比率以上の公開空地を確保していること
(5) 周辺の市街地環境に対して十分配慮がなされていること
(6) 美しく快適で魅力ある都市景観づくりに寄与していること
(7) 福祉のまちづくりへの配慮がなされていること
1 基本要件
(1) 適用地域
適用地域は、近隣商業地域及び商業地域とする。ただし、共同住宅の用途に供する建築物の適用地域は、商業地域とする。
(2) 敷地の最低必要面積
敷地面積は、用途地域に応じて次の表の数値以上でなければならない。
表1-1 敷地の最低必要面積
用途地域
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敷地面積(m2)
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近隣商業地域
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1,000
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商業地域
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750
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(3) 敷地内における空地率の最低限度は、下記の数値以上とする。
120-C (%) C:基準建ぺい率
(4) 前面道路の幅員及び接道長さ
敷地は、8m以上の幅員を有する道路に、当該敷地の全周長さの8分の1以上接しなければならない。
(5) 有効公開空地
敷地内には、下記に掲げた率以上の有効公開空地を設置すること。
20+(100-C)×2 /3 (%) C:基準建ぺい率
(6) 敷地の形状
敷地は、共同化等により集約を図り、原則として整形なものとする。
(7) 計画道路、予定道路の扱い
敷地内に、都市計画で定められた計画道路(法第42条第1項第4号に該当するものを除き、以下「計画道路」という。)又は法第68条の7により指定された予定道路があり、その部分に公開空地を設ける場合においては、将来その計画道路又は予定道路が道路になった場合でも、残りの敷地において当指針を満足しなければならない。
2 付加要件
(1) 歩道状空間の確保
歩道と車道との区別のない道路に接する場合は、原則としてその接する部分の全てに幅員2m以上の歩道状空地を設けなければならない。
(2) 緑化への配慮
公開空地は、歩行空間の確保とともに緑化に対する配慮を行うこと。
(3) 美しく快適で魅力ある都市景観づくりへの配慮
岡山県景観条例に定められた基準を配慮し、都市景観づくりの先導的役割を果たすよう努めること。
(4) 福祉のまちづくりへの配慮
公開空地の整備については、身障者等の利用を配慮し、適切な整備を行うこと。
(5) 共同住宅の各住戸は、世帯向けの住戸形態とすること。
(6) 共同住宅の駐車場、駐輪場の確保
駐車場は、戸数×0.6に当たる台数以上の駐車場を敷地内に設けること。また、駐輪場については、戸数×1.5に当たる台数以上の駐輪場を敷地内に設けること。
第4章 制限の緩和
1 容積率
(1) 本制度により基準容積率の割増を行う場合には、下記に掲げる数値以下とすること。
V×{1+(S/A-1/10)×(1700-V)×KA/2400}(%) ・・・ 1
かつ V×1.5 (%) ・・・ 2
又は V+200 (%) ・・・ 3
のいずれか小さいものを限度とする。
V:基準容積率
S:有効公開空地面積の合計
A:敷地面積
KA:下表による割増係数
用途地域
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敷地面積
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割増係数
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近隣商業地域・商業地域
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5,000m2以上
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2
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5,000m2未満
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1+(A-Amin/5,000-Amin)
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Amin:近隣商業地域は1,000m2、商業地域は750m2
(2) 共同住宅の附属自動車車庫であって、収容台数の合計が住戸数以上であり、かつ地下に設ける自動車車庫(半地下式等であっても、敷地内の空地の利用に支障がなく、都市景観に配慮していると認められるものを含む。)については、1)と併せて、住戸数分の自動車車庫の部分の床面積の合計を上限として割増を行うことができる。
2 高さ欄限
斜線制限の緩和は、建設省通達「総合設計許可準則」を準用する。
第5章 公開空地
1 定義
(1) 公開空地とは、次に掲げる敷地内の空地(植込み、芝、池等を含む。)又は開放空間(屋上部分、ピロティ部分を含む。)で、常時公共に開放し、担保されている空地をいう。(自動車の出入りする車路部分、駐車場・駐輪場部分を除く。)
ただし、屋内に設けられるもの等で、特定行政庁が認めたものにあっては深夜等において閉鎖することができる。
(2) 公開空地等とは、公開空地及び2の4)に定める公開空地に準ずる有効な公開空地をいう。
2 種別・要件
(1) 歩道状公開空地
前面道路に沿って設ける幅員2m以上4m以下の空地で、前面道路との高低差がなく、連続して歩道状で利用できるもの。
(2) 通り抜け用公開空地
道路、公園その他これらに類する施設間を動線上有効に結ぶ空地で、その幅員が2m以上4m以下のもので歩行者の利用に支障のない構造のもの。
(3) 一般的公開空地
一般的公開空地は、歩道状公開空地・通り抜け用公開空地以外の公開空地で、次の要件を満足し有効に活用されるもの。
ア 最小幅員は、4m以上
イ 一団の空地の最小面積は、次の表の地域ごとに応じた数値以上でなければならない。
表1-2 一団の空地の最小面積
用途地域
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公開空地面積(m2)
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近隣商業地域
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100
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商業地域
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75
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ウ 各公開空地の周長の8分の1以上が、道路又は歩道状公開空地に接していること。
エ 公開空地の高さ
公開空地の高さは、地上6m以下、地下6m以内とする。ただし、駅のコンコース、地下街、歩道橋に接続して歩行者の利便を増進する場合は、この限りでない。
(4) 公開空地に準ずる有効な空地
ア 中庭等その周囲の大部分を建築物に囲まれ、道路に接していない300m2以上の規模の空地で、建築物の居住者や利用者の日常自由な利用又は通行に専ら供されるもののうち、特定行政庁が公開空地に準ずる有効な空地と認めるもの
イ 公開空地に該当しない屋上の100m2以上の規模の空地で、道路に面して設けられており、当該道路からの高さが12m以下、かつ、当該道路の幅員以下のものであり、建築物の居住者や利用者の日常自由な利用又は通行に専ら供されるもののうち、特定行政庁が公開空地に準ずる有効な空地と認めるもの
3 公開空地の有効面積の算定
(1) 割増係数
有効公開空地の面積は、次に掲げる区分に従い、当該公開空地又は公開空地の部分の面積に、アからキまでに掲げる係数を乗じて算定するものとする
ア 歩道状公開空地及び通り抜け用公開空地でその幅員(歩道沿いのものは歩道と合わせた幅員)が6m以上であり、かつ、隣地との間に塀等の空地の連続性を妨げる計画のないもので、歩行者空間の創出に特に寄与するもの(幅員が4mを超えるものにあっては、幅員が4m以内の部分)・・・ 2.0
イ 歩道状公開空地及び通り抜け用公開空地(幅が4mを超えるものにあっては、幅が4m以内の部分) ・・・ 1.5
ウ 面積が500m2以上で幅員6m以上の道路に接する公開空地又は公開空地の部分(アに該当するものを除く。) ・・・ 1.2
工 面積が300m2以上500m2未満で幅員6m以上の道路に接する公開空地又は公開空地の部分(アに該当するものを除く。) ・・・ 1.1
オ ア、イ、ウ及びエ以外の公開空地又は公開空地の部分 ・・・ 1.0
カ 中庭等(公開空地に準ずる有効な空地) ・・・ 0.5
キ 屋上(公開空地に準ずる有効な空地) ・・・ 0.3
(2) 低減係数
次に掲げるものの有効公開空地面積は、当該公開空地又は公開空地の部分の面積に(1)に規定する係数を乗じて得たものに、次に掲げる区分に従いアからウまでに掲げる係数を乗じて算定するものとする。
ア 道路から見通しが、隣地又は計画建築物によって妨げられるもの ・・・ 0.5
イ 公開空地の地盤(公開空地が建築物の屋上である場合には、その屋上面の高さが、当該公開空地に接している道路の路面の高さと比べて1.5m以上高いもの又は3m以上低いもの(地形上、道路から連続して高さが変化するもの及び駅舎のコンコース、横断歩道橋等に連絡するもの等歩行者の利便に供するものを除く。)
・・・ 0.6
ウ ピロテイ、アーケード、アトリウム等の建築物又は建築物の部分によって覆われているもの。
(ア) はり下(はりがない場合には床版下。以下同じ。)10m以上 ・・・ 1.0
(イ) はり下5m以上10m未満 ・・・ 0.8
(ウ) はり下2.5m以上5m未満 ・・・ 0.6
(3) 割増係数(都市景観に寄与)
次に掲げるものの有効公開空地面積は、当該公開空地又は公開空地の部分の面積に(1)、(2)に規定する係数を乗じて得たものに、次のア又はイに掲げる係数を乗じて算定することができる。
ア 下記に掲げる公開空地の条件をすべて満足し、建築物の意匠、形態等が市街地環境の整備改善、都市景観の形成に寄与するもの。 ・・・ 1.2
(ア) 一団の公開空地が、幅員が12m以上の道路に接する。
(イ) 一団の公開空地の面積が、500m2以上である。
(ウ) 公開空地の最小幅員が、12m以上である。
(エ) 歩道状に有効に公開された空地であり、歩行者への配慮がなされている。
イ 下記に掲げる公開空地の条件をすべて満足し、建築物の意匠、形態が、市街地環境の整備改善、都市景観の創出に寄与するもの。 ・・・ 1.1
(ア) 一団の公開空地が、幅員が6m以上の道路に接する。
(イ) 一団の公開空地の面積が、250m2以上である。
(ウ) 公開空地の最小幅員が、6m以上である。
(エ) 歩道状に有効に公開された空地であり、歩行者への配慮がなされている。
4 維持管理
(1) 公開空地の標示
建築主は、一般に見やすい場所に、当敷地内の公開空地が法に基づいて設けられた旨、及び特定行政庁により深夜等の閉鎖が認められた公開空地については、その公開時間を標示しなければならない。
標示板(様式1)は原則として2カ所以上設置し、標示板の寸法は縦40×横50以上で、その材質はステンレス等の耐候性、耐久性に富んだもので堅固に固定されたものとする。
(2) 誓約書
建築主は、公開空地を一般に開放し維持管理を適切に行うものとし、その旨の誓約書(様式2〉 を市長に提出しなければならない。
(3) 屋外広告物
公開空地には、原則として広告物を掲示し、又は設置してはならない。
ただし、建築物と一体化したデザイン、色彩、形態で市と協議し都市景観に十分配慮したものは、この限りでない。
平成3年4月1日 制定
平成8年4月1日 改正
平成10年4月1日 改正