倉敷市美観地区景観条例(PDF)
倉敷市美観地区景観条例
平成17年6月29日
条例第72号
(目的)
第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)第61条第1項の規定に基づき、都市計画に定める景観地区内における建築物その他工作物の形態、意匠、高さ及び壁面の位置の制限に関する事項その他景観地区の景観の整備に関し必要な事項を定めることにより、本市固有の歴史的景観の保存を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 景観地区 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第6号に規定する景観地区をいう。
(2) 歴史的景観 伝統的な建築様式による建築物、工作物、遺跡等が周囲の自然環境と一体となって形成されている景観をいう。
(3) 建築物 法第7条第2項に規定する建築物をいう。
(4) 工作物 煙突、排気塔その他の工作物で景観地区の景観に支障を及ぼす恐れがあるものとして、規則で定めるものをいう。
(5) 建築等 法第16条第1項第1号に規定するものをいう。ただし、同条第7項各号(第8号を除く。)に規定する行為を除く。
(6) 建設等 法第16条第1項第2号に規定するものをいう。ただし、同条第7項各号に規定する行為を除く。
(建築物又は工作物の高さの算定方法)
第3条 建築物又は工作物の高さは、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第6号(同号ただし書を除く。)の規定により算定するものとする。
(景観地区の種別)
第4条 市長は、景観地区を次の各号に掲げる種別のいずれかに指定するものとする。
(1) 第1種美観地区 倉敷市伝統的建造物群保存地区保存条例(昭和53年倉敷市条例第42号。以下「伝建条例」という。)第2条第2号に規定する区域をいう。
(2) 第2種美観地区 倉敷市伝統美観保存条例(昭和43年倉敷市条例第63号)第2条第2号に規定する区域をいう。
(建築物に関する計画の認定)
第5条 景観地区内において、建築物の建築等の行為を行おうとする者は、法第63条の規定により、市長の認定を受けなければならない。
(建築物に関する認定の基準)
第6条 前条の規定による申請に係る建築物は、次の各号に掲げる基準のいずれにも適合するものでなければならない。ただし、第4条の規定による景観地区の種別が指定された際現に存する建築物の建築等で、従前の高さ及び規模の範囲内のもので、外観の形態及び意匠が特に優れていると認められるとき、当該建築物が公益上必要と認められるとき又は当該申請に係る建築物の位置、規模、形態、意匠及び色彩が同一敷地内の他の建築物と調和し、かつ、周囲の景観に著しく影響を及ぼす恐れがないと認められるときは、この限りでない。
(1) 高さが、第1種美観地区にあっては10メートル以下、第2種美観地区にあっては11メートル以下であること。ただし、伝建条例第3条第1項の規定により定める倉敷川畔伝統的建造物群保存地区保存計画(昭和54年倉敷市教育委員会告示第3号)別表1及び別表2に掲げる建築物に係る市長の認定は、原則として従前の高さ及び規模の範囲内で行うものとする。
(2) 位置、規模、形態、意匠及び色彩が、伝統的な建築様式による建築物の特性を維持し、かつ、周辺の町並みの景観に調和しているものであること。
(3) 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第3号に規定する建築設備(避雷針を除く。)は、適切な修景措置が施されており、かつ、位置、規模、形態、意匠及び色彩について、建築物の本体と均整がとれていること。
2 前項第2号に掲げる基準の適用に関し必要な技術的細目は、景観地区の種別に応じ、規則で定める。
(建築物の建築等完了等の届出)
第7条 法第63条第1項又は法第66条第3項の認定を受けた者は、当該認定に係る行為が完了したとき又は当該認定に係る行為を中止したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。
(工作物に関する計画の認定)
第8条 景観地区内において、工作物の建設等の行為を行おうとする者は、あらかじめ、その計画が、次条の規定に適合するものであることについて、所定の申請書を提出して市長の認定を受けなければならない。当該認定を受けた工作物の計画を変更して建設等を行おうとするときも、また同様とする。
2 市長は、前項の申請書の提出があった場合においては、当該提出のあった日から30日以内に、申請に係る工作物の計画が次条第1項各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて当該基準に適合すると認めるときは、当該申請書を提出した者(以下この条において「申請者」という。)に認定証を交付しなければならない。
3 市長は、前項の規定により審査をした場合において、申請に係る工作物の計画が次条第1項各号に掲げる基準に適合しないものと認めるとき又は当該申請書の記載によっては当該基準に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を前項の期間内に申請者に交付しなければならない。
4 第2項の認定証の交付を受けた後でなければ、同項の工作物の建設等の工事(根切り工事を除く。)を行うことができない。
(工作物に関する認定の基準)
第9条 前条第1項の規定による申請に係る工作物は、次の各号に掲げる基準のいずれにも適合するものでなければならない。ただし、第4条の規定による景観地区の種別が指定された際現に存する工作物の建設等で、従前の高さ及び規模の範囲内のもので、外観の形態及び意匠が特に優れていると認められるとき又は当該工作物の建設等が公益上必要と認められるときは、この限りでない。
(1) 高さが、第1種美観地区にあっては10メートル以下、第2種美観地区にあっては11メートル以下であること。
(2) 周辺の町並みの景観に調和しているものであること。
2 前項第2号に掲げる基準の適用に関し必要な技術的細目は、景観地区の種別に応じ、規則で定める。
(国又は地方公共団体の工作物に対する認定等に関する手続の特例)
第10条 国又は地方公共団体が行う建設等については、第13条の規定を適用しない。この場合において、法第66条第2項から第5項までの規定中「建築物」とあるのは「工作物」に、「建築等」とあるのは「建設等」に、「第62条」とあるのは「当該条例第9条」に、「第64条第1項」とあるのは「当該条例第13条第1項第1号」と読み替えて適用する。
(工事現場における認定の表示等)
第11条 景観地区内の工作物の建設等の工事(第8条第2項又は前条の規定により読み替えて適用する法第66条第3項の規定による認定を受けたものに限る。)の施工者は、当該工事現場の見やすい場所に、規則で定めるところにより、建設等工事主(工作物の建設等をする者をいう。以下同じ。)、設計者(その者の責任において、設計図書を作成した者をいう。)、工事施工者(工作物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。)及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る計画について第8条第2項又は前条の規定により読み替えて適用する法第66条第3項の規定による認定があった旨の表示をしなければならない。
2 景観地区内の工作物の建設等の工事の施工者は、当該工事に係る第8条第2項又は前条により読み替えて適用する法第66条第3項の規定による認定を受けた計画の写しを当該工事現場に備えて置かなければならない。
(工作物の建設等完了等の届出)
第12条 第8条第2項又は第10条の規定により読み替えて適用する法第66条第3項の規定による認定を受けた者は、当該認定に係る行為が完了したとき又は当該認定に係る行為を中止したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。
(違反に対する措置)
第13条 違反に対する措置は、法に定めるもののほか、次のとおりとする。
(1) 市長は、第9条の規定に違反した工作物があるときは、建設等工事主、当該工作物の建設等の工事の請負人(請負工事の下請人を含む。以下同じ。)若しくは現場管理者又は当該工作物の所有者、管理者若しくは占有者に対し、当該工作物に係る工事の施工の停止を命じ、又は相当の期限を定めて当該工作物の改築、修繕、模様替、色彩の変更その他当該規定の違反を是正するために必要な措置をとることを命じることができる。
(2) 市長は、前号の規定による処分を行ったときは、標識の設置その他規則に定める方法により、その旨を公示しなければならない。
(3) 前号の標識は、第1号の規定による処分に係る工作物又はその敷地内に設置することができる。この場合において、同号の規定による処分に係る工作物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
(4) 第1号の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、市長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合において、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
(5) 前号の措置を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
2 市長は、前項第1号の規定による処分を行ったときは、当該処分に係る工作物の工事の請負人の氏名又は名称及び住所その他規則に定める事項を建設業法(昭和24年法律第100号)の定めるところにより当該請負人を監督する国土交通大臣又は都道府県知事に通知しなければならない。
(報告及び立入検査)
第14条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、所有者、管理者若しくは占有者、工事主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者に対し、当該行為の実施の状況その他必要な事項に関し報告させ、又はその職員に、当該行為の敷地若しくは工事現場に立ち入り、建築物、工作物、材料その他工事に関係がある物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(倉敷市伝統的建造物群等保存審議会の意見の聴取)
第15条 市長は、次に掲げる行為を行おうとするときは、伝建条例第11条に規定する倉敷市伝統的建造物群等保存審議会の意見を聴くことができる。
(1) 法第63条第2項、法第66条第3項、第8条第2項若しくは第10条の規定により読み替えて適用する法第66条第3項の規定による認定又は法第64条第1項若しくは第13条第1項第1号の規定による命令
(2) 第6条第2項又は第9条第2項の技術的細目の変更
(委任)
第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(罰則)
第17条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
(1) 第13条第1項第1号に規定する市長の命令に違反した者
(2) 第8条第1項の規定に違反して、申請書を提出せず、又は虚偽の申請書を提出した者
(3) 第8条第4項の規定に違反して、工作物の建設等の工事を行った者
第18条 第11条第1項又は第2項の規定に違反して、認定があった旨の表示をせず、又は認定を受けた計画の写しを備えて置かなかった者は、30万円以下の罰金に処する。
(両罰規定)
第19条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前2条に規定する違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前に改正前の倉敷市美観地区景観条例第5条の規定により承認された行為については、なお従前の例による。
(関係条例の一部改正)
3 伝建条例の一部を次のように改正する。
第11条第3項中「平成12年倉敷市条例第5号)第13条」を「平成17年倉敷市条例第72号)第15条」に改める。