樫尾聡美は、ダイナミックかつ繊細な布のインスタレーション作品を県内外で発表して活躍中の、注目の作家です。
鮮やかな色に染められた布の上には、歯車などの無機的な形態と有機的な形態の模様が施されており、その上には胴体部分が飛行機になっている蝶がとまっています。これは「アカボシゴマダラ」という外来種の蝶をモチーフとしたものです。
無機物と有機物が融合する模様は、人間とテクノロジーが融合しつつある現代社会において、人間を人間足らしめているものは果たして何か、という作者の思索に基づいています。その問いに対する答えのひとつとして、何かを美しいと感じる心そのものではないかと作者は考えます。
それでは、めまぐるしく変化する現代社会において、美とは一体何なのでしょうか。その問いに対する答えは、もやのただよう中にあるように、見えたと思うとぼんやりかすんでいくようです。しかし問い続けることは、人間として生きていく中で必要なのではないでしょうか。
今回の展示は、岡山ゆかりの若手作家と当館丹下健三建築とのコラボレーションとして企画されました。樫尾作品の色がもやのようににじみひろがり、無機的な灰色の空間をふわりと変える魔法を、どうぞお楽しみください。
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《樫尾聡美 プロフィール》
1984 愛知県生まれ
2008 金沢美術工芸大学 美術工芸学部 工芸科 染織コース卒業
2010 多摩美術大学 美術研究科 デザイン専攻
テキスタイルデザイン領域修了
2012 公益財団法人 金沢芸術創造財団 金沢卯辰山工芸工房修了
岡山県立大学 デザイン学部 デザイン造形学科
テキスタイルデザインコース助教(~現在)
《展示/受賞歴》
2016 第17回岡山芸術文化賞・グランプリ
個展「粒子」/吹上美術館/岡山
2015 個展「アペルト2 樫尾聡美―生命の内側にひそむもの」
/金沢21世紀美術館/石川
2014 第7回岡山県新進美術家育成I氏賞・奨励賞
個展/文化往来館ひしお/岡山
関連HP1:KASHIO SATOMI NIKKI
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●ワークショップ 『にじみとあそぶ - うきだすもよう - 』
終了しました。
日時:12月18日(日)
14時~15時
※12/2(金)より申込みを受付けます
参加費500円
美術館3階 第2会議室
対象:子どもから大人まで。先着20名(小学校2年生以下の場合、保護者同伴)※申込み:美術館(☎086-425-6034)へ電話で申込み