倉敷市立美術館は、1983(昭和58年)年の開館以来、市民に身近な美術館として、郷土にゆかりの深い作家たちの作品を中心にすぐれた美術作品が展望できるコレクションづくりをめざし収集活動を行ってまいりました。
令和元年度には、倉敷市児島に生まれ、27歳でスペインへ渡り、世界遺産の町・クエンカで生涯を終えた洋画家・岡野耕三のご遺族から、作品や資料のまとまった寄贈がありました。具象的なものを徐々に削ぎ落として、抽象へと向かう岡野の絵画を展示会場の約半分を使用して紹介します。
また、このたび初めての収蔵となる武内晴二郞や岡本暉生らの陶芸作品は、倉敷の伝統的な焼き物である酒津焼の流れを汲む器です。特に、武内晴二郞の石膏原型を使って練り上げた大鉢には、民芸の趣と力強い造型が感じられます。さらに、昨年当館で開催した「高橋秀+藤田桜ー素敵なふたり」展の終了後に高橋・藤田両氏より寄贈いただいた作品や、流政之の黒御影石の彫刻など新たに倉敷市立美術館のコレクションとなった作品を紹介します。