2012/02/26

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髙原 洋一「GEOMETRIC NARCISSUS 90・D」

1990(平成2)年
123.0×170.0cm/シルクスクリーン・紙

作品解説

髙原洋一は写真をベースにしたシルクスクリーン版画を手がけて現代日本美術展や日本国際美術展で数々の賞を受賞し、早くから全国的な注目を集めました。髙原の作品にうつし取られた風景は、ほんの少し作家が手を加えることによって、不思議な変容をとげます。本作は、水面に人為的につくられた物体の日陰と水に映った幻影によって、つかの間の三次元空間を体感させる装置のようにも見えます。タイトルにあるナルキッソスとは、水に映る自分の姿に恋をして死に、水仙の花に化したというギリシア神話に登場する美青年ナルシスの物語からの言葉ですが、髙原の作品と共通しているのは、ある物体が水に映るという現象だけのようにも思えます。髙原の作品は、あくまでも見る(見える)とはどういうことなのかを知的な遊び心を交えながら絵画化することにあったと思われます。

in 4:版画・ポスターなど