四季折々の風情に彩られた日本の風景-。人々は古来より、その恵まれた自然美に親しんできました。絵画の世界においても、日本の風景は早くから題材として取り上げられ、数々の名作が生み出されてきました。特に、江戸時代後期以降は、様々な流派の作家が魅力あふれる作品を次々に描きました。
倉敷市立美術館には、堀和平が描いた富士山や鳴門の絵をはじめ、郷土ゆかりの松原三五郎や満谷国四郎など多くの作家による風景画が所蔵されています。岡本豊彦の「連島真景図」は、21歳のころの作者が、眼前に広がる連島の風景を客観的な視点で一生懸命に描いた実景図です。中島来章と望月玉川による「二見ヶ浦図」は、倉敷・新渓園に伝わった伊勢の夫婦岩を題材にした作品で、仲むつまじい象徴として戦前にはこの作品の前で結婚式が行われたそうです。
このたびの展示は、こうした風景画の秀作に加え、倉敷市玉島出身の陶芸家・小山冨士夫の仕事をあわせて紹介します。