2012/02/21 満谷 国四郎「戦の話」 満谷 国四郎「戦の話」 1906(明治39)年107.4×151.5cm/油彩・キャンバス■作品解説1906年の第5回太平洋画会展、翌年の東京府勧業博覧会に出品された本作は、日露戦争という非日常的な出来事を庶民の生活の中で率直にとらえており、当時の社会情勢の一端を反映しています。美術評論家の森口多里は、1943年に発行された『美術五十年史』の中で「帰還の一兵士が軍服のまま畳の上に坐って銃剣を構えた身振りで一家族に戦争話をしている場面で、兵士の後ろの硝子障子から差し込む初夏らしい日光が座敷の中の一群の人物の明暗を際立たせることによって、洋画としての画的効果を高めた」と評しています。確かに、この作品の大きな見どころのひとつは光の効果的な使い方にあります。そのうえで、たとえば画面中央で立て膝をついて話を聞いている男の足元や帰還兵があぐらをかいている部分など意識して曖昧に描いています。 in 2:洋画