2012/02/21

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堀 和平「母子像」


45.0×57.5cm/油彩・キャンバス

作品解説

堀和平は実業家として成功する一方、神戸での仕事の合間に外国人から油絵の技法を学んだといわれ、岡山洋画壇の先駆けとなる人物です。本作は堀の代表作のひとつで、西洋絵画の陰影法を取り入れて、人物の顔や着物のひだの立体感を表現しようと苦心しながら描いています。この作品は、当時の石版画などにも同じポーズをした女性像が見られ、1917年に発行された『美術』第1巻第5号所収の亀井至一が制作し同郷の平木政次が所蔵していた「お以久」という石版画もそのひとつです。さらに、本館が所蔵する堀の作品には、明治天皇像やナポレオン像のように写真や印刷物を参考にしたと思われるものもあります。堀は明治時代前期、洋画の画題そのものが未だ手探りだったとき、風景画や静物画などに加えて幅広い画題に意欲的に挑戦し、熱心に制作していたと考えられます。

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