2012/02/21

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平木 政次「伊豆下田港」


54.0×101.0cm/油彩・キャンバス

作品解説

黎明期の洋画は、幕末明治期に盛んだった本草学などの自然科学と結びつき、ありのままを忠実に描くことによってその存在価値が認められました。平木政次は、1879年に、大森貝塚を発見したアメリカの動物学者モースから、出土した土器を描いた石版画に実物を見ながら着色する仕事を依頼されています。その翌年からは文部省の教育博物館に画工として任命され、動植物の標本画の作成に携わるなど、実用的で合理的な写生を身につけました。近代に入り、写生に基づく風景画が広く描かれるようになりますが、本作も見たままの風景を忠実に再現しようとしたもので、平木の実直な制作態度をうかがうことができます。技術的には、ペインティングナイフを使いこなしている部分も見られ、明治時代の洋画が急速に発達していく様子がわかります。

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