2012/02/17

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岡本 唐貴「海と女」

1926(大正15)年
83.5×141.0cm/油彩・キャンバス

作品解説

岡本唐貴は大正期に前衛美術運動、昭和初期にはプロレタリア美術運動の中心人物の一人として活躍しました。キュビスムや未来派などの影響を受けた大正期の岡本の絵画は、時代の先端を担っていた反面、おおむね抽象的で一般にはなじみにくいものでした。1925年、岡本は矢部友衛らとともに美術団体・造型を結成、「芸術はすでに否定された。今やそれに代わらんとするものは新しい『造型』である」という言葉で始まる宣言文からは、今までにない新しい表現をめざした彼らの意気込みが感じられます。第2回造型展に出品された本作は、水着姿で横たわる目鼻立ちのくっきりした女性を描いた作品です。異様に大きな目と量感が強調され逞しさすら感じさせる描き方は、造型のメンバーに共通して見られる特徴です。赤外線を当てると、目の大きさや位置など何度も描き直した下書きの線が見られ、変更を加えながら作品を仕上げていった様子がわかります。

in 2:洋画