倉敷市下津井町並み保存地区整備計画
1 保存地区の範囲
保存地区の範囲は,次のとおりとする。
町並み重点整備地区
下津井吹上1丁目,下津井吹上2丁目,
下津井1丁目及び下津井2丁目の各一部
周辺景観保存地区
下津井田之浦1丁目,下津井田之浦2丁目,下津井吹上1丁目,
下津井吹上2丁目,下津井1丁目,下津井2丁目
2 基本計画
1)沿革
下津井港は瀬戸内海に面し,非常に歴史の古い港で,奈良,平安時代の
記録にも出ている。下津井が本格的な港町として栄えたのは,江戸時代中期
以降からで,内海航路の船や北前船などで大いに賑わった。
今でも当時の商家やニシン倉などが残され,漁師町の雰囲気もよく残っている。
2)方針
地区住民の所有権,財産権を尊重し,加えて生活環境の向上を配慮しながら
保存地区の特性に応じた修理,修景等を行い,残された下津井の歴史的景観の
保存に努め,後世に伝える。
3)内容
保存地区に最も多く残されている建物は,本瓦葺,なまこ壁漆喰塗格子窓の
外壁をもつ建築物であり,これらの建物群が海岸の石段や背後の小高い丘と一体
をなし,豊かな自然の中に古いものが溶け合った美しい歴史的景観をつくりだして
いる。
これらの地域固有の歴史の息づく町並みを保存するため,伝統的建造物及び物件
について修理,復旧などを行い,また地域の啓発に必要な施設等の整備を実施し,
伝統的建造物以外の建築物等についても住民の協力を得て,可能な限り伝統的
建造物と調和するよう修景を行い,併せてこれらの事業を行うため必要な助成措置を
講ずる。
3 保存地区における建造物等の保存整備計画
地区住民の理解と協力を得て,伝統的建造物の外観を保存するための修理,伝統
的建造物以外の建築物については,適切な修景を実施する。
このことについて,以下の基準に従って地域の歴史的風致の維持に努める。
1)建築物
ア 伝統的建造物は,主として通常望見される外観を保存するため,原則として次の
基準に従って各々固有の様式に修理する。
〔形 式〕
平屋,厨子二階,本二階
〔共通の特性〕
本瓦葺,1階真壁・2階大壁の漆喰塗
〔型別の特性〕
「平屋」
平格子,腰板張
「厨子二階及び本二階」
平格子又は出格子,虫籠窓,腰なまこ張
イ 伝統的建造物以外の建築物の新築,増築若しくは改築又は修繕,模様替え若しくは
色彩の変更又は移転については,保存地区の歴史的風致とよく調和するよう伝統的
建造物の特性にならい主として通常望見できる外観について,次の基準により修景
を行う。
屋 根 瓦は本瓦又は桟瓦,色は黒色又は銀ねずみ色とする。
外 壁 漆喰塗,なまこ瓦張りとする。
建 具 木製建具又はこれに類するものを使用する。
開口部 特に必要な箇所には格子を取り付ける。
2)その他の工作物等
ア 伝統的な形式をもつもの
破損を生じた場合は,修理を行い保存に努める。
イ 伝統的な形式をもたないもの
原則として伝統的な固有の様式にならい修景整備する。
4 保存地区の保存のために必要な設備及び環境の整備計画等
1) 保存地区内の管理のための説明板,案内板等の充実を図る。
2) 保存地区の果たした機能を物語る施設,史跡,天然記念物等の保存に努める。
5 保存地区における建造物及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため
特に必要と認められる助成措置
1)経費の補助
伝統的建造物の外観の保存基準に適合した修理又は伝統的建造物以外の建築物
及びその他の工作物等で保存基準により修景した場合,別に定める倉敷市町並み
保存地区整備事業補助金交付要綱に基づき,補助金を交付するものとする。
2)技術的援助
保存地区における建造物等の修理,修景計画等の相談に応じ,あわせて指導助言を
行う。