「高梁川流域の起業人」第4回

「高梁川流域の起業人」第4回

「高梁川流域の起業人」手打ちうどん庵 店主 妹尾竜郎さん

「恩返し」と書かれた紙を持った妹尾さんの写真


 矢掛町出身の妹尾竜郎さん。山口県の大学を卒業した後は、実家の寿司店で働いていました。うどん店の経営を目指したのは27歳のときで、幼い頃よく通っていたうどん店の職人から技術を受け継ぎたいという思いからでした。


 8年間の修行を経て、2010年にJA直売所の中へ寿司店の支店という形でうどん店をオープン。運営面で順調に推移していたことから、2014年、38歳のときに思い切って寿司店との経営を分離し、独立することを決意しました。


 妹尾さんは「節目の40歳までには独立したかった」と年齢的な理由を掲げながらも、他の寿司店の競合や経営面へのリスクを考え、うどん店への転身を決意したそうです。


 ただ、資金の確保には苦労したようで、日本政策金融公庫のマル経融資(小規模事業者経営改善資金)を活用。その際に5年間の事業計画書をまとめました。地元商工会のサポートを受けるなど、作成には大変な思いをしたそうですが、計画書を見直してみると、売り上げの伸びが、計画と実績でピッタリ合っていたそうです。妹尾さんは「目標と計画を立てて着実に事業運営することが大切だと改めて感じました」と振り返ります。



 「ドンと売れると徐々に下がってくる」(妹尾さん)ことから、店へのメディアの取材を断り、まずは地元の常連客を大事に運営する妹尾さん。そこには一つの思いがありました。「東京で働くチャンスもあったが、やはり地元が好きなので帰ってきた。持続的な地域の発展を支えたい」。地元商工会青年部の幹部も務めながら、地域振興への舵をしっかりと握ります。

(2024.1追記 現在は「おうどん いおり」という店名で営業されています。)


お客さんで賑わう庵の店内の画像