倉敷伝建地区をまもり育てる会(わが町を語ろう)事務局 角谷義浩
この度、私たちの町が「美しいまちなみ大賞」に選ばれましたこと、うれしいという反面、とても身の引き締まる思いがしております。
私たちの町には年間300万人もの方がお越しになります。先人が遺して下さったこの町並みに、これほどの多くの方が関心を持って下さっていることは本当にありがたいことです。しかし、いつしか私たちにはそれが当たり前のようになっていました。
かつて、私たちの先人は住民主体のまちづくりを標榜していたといわれています。こういった先人の遺志があったからこそ、経済成長期の真っ只中にあっても、周囲の発展から取り残されるかもしれない建物規制を当時の住民は受け入れることができたのでしょう。景観を守るためとはいえ、相当な覚悟が必要であったと思います。
しかし、月日が経つにつれてその覚悟も薄れてゆき、まちづくりは行政任せになっていたかもしれません。私たちの町は私たちで「まもり育て」なければならない、そのことに気付くことができたからこそ、私たちの今日の活動があるのです。
私たちの会は町内会(約300世帯)を母体とした組織で、小野一臣会長(元阿智神社宮司、93歳)を中心とし誇りある町づくりを目指して活動しています。
私たちが、町を愛し生活を楽しむ様子を訪れる方に感じて頂きたい、それがなによりの「旅の味わい」だと考えています。
特定非営利活動法人 倉敷町家トラスト 代表理事 中村泰典
美しいまちなみ大賞に選ばれて、大変嬉しく思います。保存された民家の再利用方法が格段に洗練され、創造的で内装、業態、サービス形式、商品開発の独創性が極めて高く、民家、町並環境と平仄(ひょうそく:つじつま・条理)がうまくあっているとの審査講評でした。
倉敷美観地区の景観まちづくりが格段に進化(深化)しているとの高い評価だと理解しています。しかし、美観地区の全てがそうであるかと言えば、とてもそのようだとは言えません。今回の大賞はこれからの倉敷に一段と求められている景観まちづくりの方向であると受け止め、更に活発に活動を進めていきたいと思います。平仄があう景観まちづくりは倉敷だけでなく日本国内のあらゆる地域で今、求められていると感じています。
倉敷市長 伊東香織
この度、「倉敷美観地区」が平成22年度都市景観大賞「美しいまちなみ大賞」を受賞することができ、大変光栄なことと思っております。
このような名誉ある賞をいただけたのは、これまでどちらか言えば行政主導型であった景観保全の取り組みに、「倉敷伝建地区をまもり育てる会」や特定非営利活動法人「倉敷町家トラスト」など、倉敷美観地区を心より愛する各種団体の積極的な活動が融合し、協働による新たなまちづくりが行われていることが高く評価されたものだと思っております。そしてまた、地元住民の方々をはじめ、関係者の方々の長年のご尽力の賜物であると思っております。
今後も、協働による新たなまちづくりを推進し、倉敷ならではの個性と魅力を伸ばす景観保全に取り組み、ここを訪れる多くの方々に、倉敷らしさを感じていただきたいと思っております。