寺松 国太郎「サロメ」
1918(大正7)年
57.0×119.5cm/油彩・キャンバス
作品解説
本作は、新約聖書の記述を元にした19世紀末のオスカー・ワイルドによる戯曲「サロメ」の一場面が描かれています。戯曲では、イスラエルの王女サロメが、養父ヘロデ王の誕生日の祝宴で、舞いの報酬として望みのものを与えるという王の約束に対し、自らの求愛を拒絶した預言者ヨハネの首を所望します。西洋では、サロメの主題は絵画のモチーフとして古くから取り上げられてきましたが、モローやビアズリー等によって数々の名作が生み出される19世紀末になると、聖書の宗教的な物語の意味合いは薄れ、罪と死の影が宿る宿命の女(ファム・ファタール)として描かれるようになります。寺松国太郎が描くサロメも、退廃的で官能的な女性像となっています。裸婦を得意とした寺松は、サロメの右足とヨハネの首をのせた銀の盆を画面端で断ち切り主題をクローズアップさせることにより、より魅惑的な女性像を演出しています。
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