鹿子木 孟郎「放牧」

ページ番号1012892  更新日 2025年2月19日

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写真:鹿子木 孟郎「放牧」

1919(大正8)年
65.3×93.5cm/油彩・キャンバス

作品解説

本作は、鹿子木孟郎の還暦を記念して、1934年に刊行された『鹿子木孟郎画集』に掲載された1点です。1918年、鹿子木は3回目のヨーロッパ留学から帰国、この作品はブルターニュで取材した牛を描いた一連の作品のひとつで、帰国の翌年に完成しました。鹿子木はこの時のフランス留学時代について「余の最も専心学修せしは絵画のコンポジションなりき」と述べています。当時パリのアカデミーでは、解剖学に基づいた人物表現などを通して、総合的な美としてすぐれたコンポジションを獲得することが職業画家として生計をたてていくための当り前の手順でした。鹿子木は、誰にも負けないデッサン力と構想力を身につけて、自信に溢れて帰国しましたが、帰国後の鹿子木を待っていたのは、黒田清輝をはじめとする白馬会系の洋画家たちの隆盛で、鹿子木のコンポジションを重視した堅苦しい考え方は、思想的な裏付けのない日本の風土には馴染まず、日本洋画壇で根付くことはありませんでした。

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